リンク:記事一覧 [元記事] Leaked cables show Netanyahu’s Iran bomb claim contradicted by Mossad 2015/02/23 The Guardian https://www.theguardian.com/world/2015/feb/23/leaked-spy-cables-netanyahu-iran-bomb-mossad [訳者注] ガーディアン紙 本件についても他の記事もあるが、ガーディアン紙はジュリアン・アサンジのウィキリークス事件で、 パートナーとして報道したことがあり内容は信頼できる。
ベンヤミン・ネタニヤフは、2012年にイランが約1年後に核爆弾を製造するとの劇的な宣言をしたが、 トップ・シークレットのモサドの文書によると、彼の諜報機関に否定された。 これは、世界の主要な諜報機関からの何百もの書類、ファイル、電信の情報隠蔽の一部であり、 最近では最大のスパイ漏洩の1つである。 イスラエルの首相は、ニューヨークの国連で、彼の主張を爆弾の漫画を振りかざして、 イランが一年後には核兵器を作れるだろうと言い、それを止める行動を呼びかけた。 しかし、数週間後に南アフリカと共有した秘密の報告書では、イスラエルの諜報機関は、 イランが「兵器を製造するために必要な活動を行っていない」と結論づけた。 この報告書は、イスラエルのトップ政治家の公の主張や誇張とイスラエルの軍事情報機関の 評価とのギャップを目立たせている。 この開示は、3月3日に予定されていたネタニヤフの米国議会での演説前に、 イスラエルとその最強の同盟国である米国との緊張を劇的に高めた。 ホワイトハウスは、イスラエルの指導部が期待していた扇動的な説明が、 イランの核計画に関する世界の6大国とテヘランとの繊細な交渉を損なうかもしれないと恐れている。 枠組み合意の締め切りは3月末で、6月30日に最終決済が予定されている。 ネタニヤフは、イランが核兵器能力にアクセスできかもしれないと彼が主張している合意を阻止すると断言した。 バラク・オバマ米大統領は、ネタニヤフが訪米中に会わないだろう。 来月のイスラエルの総選挙が迫っており、協定のために会談ができないためである。 この文書は、ほぼすべて機密または最高機密であり、2006年から2014年12月までの約10年にわたる 世界的な諜報情報を網羅している。それはアルジャジーラの調査班に漏洩し、ガーディアンと共有している。 この文書には、アルカイダ、イスラム国およびその他のテロ組織に対する作戦の詳細が含まれており、 環境活動家の標的にもなっている ファイルは次の事を暴露している: ● CIAは、米国が禁止したにもかかわらず、ハマスとの接触を確立しようとした。 ● 韓国の諜報機関がグリーンピースのリーダーを標的とした。 ● バラク・オバマは、パレスチナ大統領に対し、パレスチナの国連加盟の招致を撤回すると「脅迫」した。 ● 南アフリカの諜報機関は、賛否両論のある1億ドルの共同衛星契約でロシアをスパイした。 ガーディアンが独自に検証した情報隠蔽は、主に南アフリカの情報機関と世界中の情報機関との間の情報交換を含んでいる。 それは通信全体ではなく選択的な漏洩である。 一番大きな獲物はモサドからである。しかし、テロ対策を担当するロシアのFSBの文書もある。 このようなロシアの資料の漏洩は非常に稀である。 トロールで捕まった他のスパイ機関には、米国、英国、フランス、ヨルダン、アラブ首長国連邦、 オマーンといくつかのアフリカ諸国が含まれる。 米国の告発者エドワード・スノーデンがNSAとGCHQ(政府通信本部)の文書をガーディアンに 手渡してから20ヶ月後に起きたこの漏洩の規模は、諜報機関が秘密を守れなくなっていることを目立たせている。 スノーデンは技術利用による監視の規模を明らかにしていたが、最新の漏洩文書は、 人間に頼るスパイとして諜報機関に知られている街頭レベルのスパイを扱っている。 それらには、監視報告、諜報機関の間の情報取引、偽情報や中傷、侵入、盗難、脅迫の証拠が含まれる。 この漏洩は、米国や他の西側諸国が大陸で存在感を育成し、中国が経済的影響力を拡大する中で、 アフリカが世界的なスパイ活動にますます重要になっている様子を示している。 ある諜報担当官がガーディアンに次のように語った。「南アフリカはスパイのエルドラド(黄金郷)だ」。 アフリカはまた、イランの影響力の広がりを阻止し、制裁を強化し、核計画を阻止するため、 米国、イスラエル、英国の秘密の世界的キャンペーンに巻き込まれた。 2012年のイランの核計画についてのモサドのブリーフィングは、ネタニヤフが国連で演説した 人騒がせな調子とは対照的であった。 ネタニヤフはイランの核計画をイスラエルの生存への脅威であり、世界の安全保障への 巨大なリスクであると長い説明をした。 さらに彼は国連で次のように語った:「来年の春には、遅くとも来年の夏までに、 現在の濃縮率で、彼らは中程度の濃縮を完了し、最終段階に移るだろう。 そこから最初の爆弾に十分な濃縮ウランを得るには数カ月、おそらく数週間しかかからない」。 彼は、情報は秘密情報や軍事情報に基づくのではなく、国際原子力機関(IAEA)の報告書によるものだと述べた。 その背後では、モサドは別の考え方をした。 2012年10月22日に南アフリカのスパイと共有した報告書(もっと以前に書かれたらしいが)によれば、 イランは「濃縮ウラン原子炉のような合法的な分野でのギャップを埋めるために努力している。 それは命令が実際に与えられてから、核兵器を製造するまでの時間を短縮できる」。 しかし、この報告書によると、イランは核兵器に必要なより高いレベルでウランを濃縮する「準備ができていないようだ」と述べている。 爆弾を作るには、濃縮率を90%にする必要がある。その後、モサドは、イランが 「約100kgのウランを20%に濃縮」したと推定した(それは後に、2013年ジュネーブ合意の条件を守って薄められたか転換された)。 イランは、いつも民間エネルギーのための核開発をしていると言っていた。 先週、ネタニヤフ執務室は、IAEAの報告に反撃して、「イランは今日、 かってなく核兵器用の濃縮ウランを手に入れる段階に近づいている」という主張を繰り返した。 イスラエル政府高官は、イランの核脅威に関するネタニヤフの声明と 「イスラエル諜報機関からの引用」との間に矛盾はないと述べた。 首相とモサドは、イランが武器を製造するためにウランを濃縮していると、彼は付け加えた。 「イスラエルは、イランとの核開発合意案は悪い合意だと見なしている。 なぜなら、世界の主要なテロ国は、核爆弾に必要な物質を製造できる能力を作ることができるからだ」と言った。 しかし、モサドは前にイランのネタニヤフと意見が食い違っていた。 2010年12月に辞任したモサド元長官メイール・ダガンは、ネタニヤフからのイランに対する 軍事攻撃準備命令に反対したことが知られている。 イスラエルの安全保障機構の他のメンバーは、イランの核の脅威と軍事対立の主張についてのネタニヤフの誇張に苛立った。 2012年4月、イスラエル保安庁(Shin Bet)の元長官は、ネタニヤフの「救世主的」な 軍事行動を進める政治的指導を非難した。 彼と国防長官エフード・バラックが、イラン問題で国民を誤った方向に導いていると言った。 イスラエルの参謀本部長ベニー・ガンツは、イランへの取り組みの決断は「歴史的責任のため、 ヒステリーを起こさず慎重でなければならない」と述べた。 またワシントンには、ネタニヤフがオバマを脅してイランに対してより好戦的な政策を求めている疑惑もあった。 ネタニヤフの国連演説の数日前、当時の米国防長官レオン・パネッタ(Leon Panetta)は、 イスラエルの首相が米国を追い詰めようとしていると非難した。 「事実は・・・米国の大統領、イスラエルの首相または他の国の大統領・・・ 彼らの決断を定める小さな赤い線など持っていない」と彼は言った。 「彼らが持っているのは、国が何をしているかについて彼らに示されている事実であり、 その状況に対処するためにはどのような行動が必要かを判断する。 それが現実の世界だということです。 赤い線は、人々をコーナーに押しやるために使われる政治的議論の一種である」。 [訳者注] 戻る=>page top ネタニヤフのデマはこれが初めてではない。何度も同じ趣旨の発言をしている。例えば、 1997年のBBCとのインタビューで、イランは秘密裏に「弾道ミサイルの巨大な武器庫を建設している」と非難し、 最終的にマンハッタンが射程内入ると断言した。 => In an interview with the BBC in 1997 |