リンク:記事一覧 [元記事] Clashing with the Jewish state: ultra-Orthodox Israelis who reject Zionism Jaclynn Ashly on March 22, 2018 URL:http://mondoweiss.net/2018/03/clashing-orthodox-israelis/ [著者] Jaclynn Ashly ロンドン生まれ、パレスチナのベツレヘムを拠点とするジャーナリスト。 The Guardianのコラムニスト。
太陽が昇る前に、イスラエルの暴動警察は、エルサレムの最も古いユダヤ人地区の1つを抜き足差し足で通り抜けた。 彼らの影が建物と壁に描かれた反シオニズムの落書きの上で踊っている。 彼らの目的はメア・シェアリム(エルサレム市の一地区)の居住者の逮捕である。 その共同体の主張によれば、イスラエルの強制徴兵を拒否し、国家に反対して組織化したからである。 彼らは、そのような襲撃は、何十年もの間、この地区で夜間に起きたと言っている。 しかし、近年、イスラエルの警察活動はメア・シェアリムでエスカレートしている。 彼らの話によれば、イスラエル軍が夜間の襲撃で家に侵入すると、 超正統派の住民たちはベッドから引きずり出され、警察の車に投げ込まれる。 1874年に設立されたメア・シェアリム地区の多くの人は、エイダ・ハラディ(Eda Haredit)、 英語で「神を恐れる信徒」、の一部である。それはエルサレムの超正統派グループで、激しい反シオニストでもある。 イスラエル警察の広報担当官ミッキー・ローゼンフェルドは、再発する場面は減っていると説明した。 彼は過去数ヶ月間にこの地区で逮捕された人数は言えなかったが、 モンドバイス警察は、違法デモに関係したと分かっている特別の人がいない限り、 普通は夜間の襲撃は行わないと言った エイダ・ハラディ(神を恐れる信徒)は、イスラエルの国家と、より大きなイスラエル社会に同化させるあらゆる試みに反対している。 隠遁生活のメア・シェアリム地区は、グループのシンボルになっている。 そのメンバーは国の機関や業務から可能な限り自身を隔離している。 エイダ・ハラディのメンバーは、イスラエル北部のエルサレムの都市である ベト・シェメシュ(Beit Shemesh)とサファット(Safed)にも住んでいる。 グループのメンバーの多くはオールド・イシュフ(共同体)の子孫であり、 オスマン帝国とその後は大英帝国が支配した歴史的に有名なパレスチナに住んでいたユダヤ人である。 メア・シェアリム地区の多くのエイダ・ハラディのメンバーの家の外には、 「ここに非シオニストのユダヤ人が住んでいます」という標識が下げられている。 家の外でパレスチナの旗がはためいているのは、ここでは普通の光景である。 エイダ・ハラディのメンバーは、しばしばエルサレムの通りで国とイスラエル軍の徴兵に抗議している。 イスラエル軍は、通常、スカンクスプレーを吹きかけて応戦する。 メンバーは、黒い幅の広い帽子を保護用のプラスチックで包んだりして準備が整える。 イスラエルの警察が逃げずに、抗議者にスカンクスプレーを放つと、エイダ・ハラディのメンバーには 腐った匂いのする薬の雨が降り注がれ、しばしば歌い、踊る。 イスラエル警察は、非武装のエイダ・ハラディのメンバーを激しく叩くことを含め、 デモ参加者に過度の武力を使用していると非難されている。 一世紀にわたる反シオニスト闘争
モルディカイ・ミンツバーグはメア・シェアリム地区のラビで、彼の家族はイスラエルが設立される前にパレスチナに住んでいた。 彼はエイダ・ハラディ(神を恐れる信徒)の設立は20世紀初頭のシオニズムに対する「反作用」で あったと独立系ウェブサイトのモンドバイス(Mondoweiss)に語った。 ミンツバーグによると、シオニストは1917年のバルフォー宣言に続いて、英国のパレスチナ委任統治をつかんだので、 ユダヤ人はシオニスト運動との関係を決めることを余儀なくされた。 「熱心な反シオニストユダヤ人は、シオニスト運動には明確に反対する自給自足コミュニティを 設立することを決めた」とミンツバーグは言う。 エイダ・ハラディは、完全にイディッシュ語で教育する別の学校制度と、 バダツ(Badatz)として知られる独立宗教裁判所を自身で育成した。 1948年にイスラエルが設立された時、グループのシオニズムに対する闘いは激しくなった。 イスラエルは常に政治的スペクトルの中に反シオニストユダヤ人を受け入れたが、 エイダ・ハラディは信念を厳格に守るため距離を置いている。 イスラエルの初期の時代に、エイダ・ハラディのメンバーはイスラエルの身分証明書を受け取ることを拒否し、 ある者はイスラエルの通貨すら拒否したとヘブライ大学ユダヤ教の教授である ベンジャミン・ブラウンはモンドバイス(ウェブサイト)に語った。 他の超正統派のグループは、自己宣言のユダヤ国家のアイデンティティーを持ち、 現在は政府機関に統合され、イスラエル議会に参加している。シャス(Shas)や アグダット・イスラエル(Agudat Yisrael)のような有力な政党には、 超正統派でありながらもイスラエル国家を熱心に支持しているメンバーがいる。 エイダ・ハラディは、これらの超正統派グループを「反逆者」、 「シオニストの敵と協力している」と見なしていると、ミンツバーグは言った。 エイダ・ハラディは、イスラエルの身分証明書と市民権は今やコミュニティに「強制されている」が、 メンバーは「国家から分離するために彼らの力であらゆる事をする」と述べた。 エイダ・ハラディのメンバーは選挙をボイコットし、イスラエルの国民保険を拒否する。 メンバーは、国から歓迎されない援助を受けた場合、イスラエル軍に反対するメンバーを 支援する資金に直ちに加えられる、とミンツバーグは述べた。
「我々は生存のために奮闘している」 共同体はイディッシュ語を話し、外部の人とは現代ヘブライ語のみを使う。 彼らは、ほとんどのイスラエル人が今日話す言葉を古代ヘブライの「悪用」と見なしていると、ミンツバーグは説明した。 ユダヤ人は古代イスラエルから追放された。彼らは、神の戒律に反したからであると信じている。 ユダヤ人は、過去の罪にふさわしい「魂の贖罪」の後に予想されるメシアの到来まで、いかなる形態の国家も許されない。 シオニストはその地域のさらなる政治的目標と領土を「征服する」ためにユダヤ教を使った。 ユダヤ国籍はユダヤ教の教えと反する、とミンツバーグはモンドバイス(ウェブサイト)に付け加えた。 彼はシオニズムをユダヤ教信仰の「寄生虫」とみなしている。 彼の信念によれば、イスラエル内のユダヤ人と占領されたパレスチナの領土は、パレスチナの支配下にあるべきである。 ブラウン教授は、エイダ・ハラディの人口は現在少なくとも3万人と推定している。 彼はエイダ・ハラディがイスラエル中央統計局との協力を拒否するため、公式統計は存在しないと述べた。 イスラエルの活動家であるリジー・サギ(Lizi Sagie)はモンドバイスに、 「イスラエルの誰もエイダ・ハラディのような反シオニズムを実践しない」と語った。 「彼らは反シオニストであると言うだけでなく、本当にそれを生きている」と話した。 「私はメア・シェアリムで見たような純粋な正義を目撃したことはない」。 大きなイスラエル社会では、エイダ・ハラディのメンバーは、「暴力的過激派」と見なされている。 そのグループは、異議を申し立て、侮辱を言い、時にはメア・シェアリムをうろつくイスラエル軍の兵士に唾を吐く。 共同体は性別隔離のために火災にも遭った。以前は国が公共の歩道の障壁を除くために介入してきた。 しかし、ミンツベルクの見解では、彼のグループは、国家の中で生き残り、自身を守ろうとしている。 「我々は我々の生存のために奮闘している」と彼は語る。 強制的徴兵 エイダ・ハラディ(神を恐れる信徒)とイスラエル当局との最も重要な戦場は、国の徴兵義務に関する。 イスラエル法は、18歳でユダヤ人のイスラエル国民が軍に徴兵されることを義務づけている。 男性は軍に3年、女性は2年強制的に徴兵される。 ブラウンは教授は、イスラエルの約90万人の超正統派ユダヤ人が、通常、 イェシバ(神学校)のフルタイムの学生であることを証明して、非公式の免除を得てこれたと言っている。 徴兵免除を制限する2014年の法案は、地域社会からの抗議の波を引き起こした。 それはイスラエル歴史上最大の行進を含む。 イスラエルの議員が超正統派ユダヤ人の徴兵免除の打ち切り法案を協議するにつれ、 この問題は一般市民の目に留まった。 しかし、他の超正統派のグループとは違って、イスラエルのエイダ・ハラディを徴兵しようとする試みは無益である。 エイダ・ハラディにとって、徴兵センターに入り、免除を求める文書を見せることすら「敵と協力する」と見なされている。 「イスラエル軍の免除を求めることは決してないだろう。 なぜならばシオニスト政権を全く認めていないからだ」とミンツバーグは語った。 「私たちの誰かが、軍に徴兵されることを受け入れるとすれば、 それはシオニスト国家と戦うためである」と彼は付け加えた。 エイダ・ハラディのメンバーにとっては、徴兵を拒否して投獄されることは名誉である。 彼らの子供たちは徴兵の年齢に達することに「興奮」している。 なぜなら「徴兵拒否者は共同体のスターそして英雄になる」からでであるとミンツバーグは言った。 イスラエルのエイダ・ハラディと他の超正統派団体との間の亀裂は、近年深刻化している。 エイダ・ハラディは、イスラエルの徴兵が、大きな超正統派社会をさらに「腐敗させ」、 「イスラエル化」する当局の企てであると見ている。 過去10年間で、イスラエル軍への超正統派の入隊は、2007年の288件から今日2,000件に増加した。 活動家のサギは、イスラエル当局が超正統派の軍関係者をメア・シェアリム地区に 「住民を挑発するためだけに」送ることが多いと指摘する 「彼らは、「見なさい。あなたの仲間でさえも、私たちのユニフォームを着ている」 と共同体に示すことを望んでいる」とサギはモンドバイス(ウェブサイト)に語った。 エイダ・ハラディは徴兵に対して頻繁に抗議し、徴兵センターの外でパンフレットを配布して、 他の超正統派ユダヤ人が軍に入隊することを阻止する。
同グループはまた、メア・シェアリム地区でイスラエル軍の兵士の人形を儀式的に吊るしていることも知られている。 イスラエルの指導者の間で非難を呼び起こし、イスラエル軍の徴兵に抗議するためである。 昨年、イスラエル国防大臣のアヴィグドール・リーベルマンは、ツイッターで共同体と対決した。 イスラエル国民が「故郷を守るために命を懸けている」一方、 「過激派で暴力的反シオニストのグループが超正統派ユダヤ人が軍隊へ入隊することを妨げている」 ことは「恥」だと言った。 頻繁な襲撃 ミンツバーグによると、イスラエル軍はメア・シェリアム地区を頻繁に襲撃し、徴兵拒否者や抗議活動家のメンバーを逮捕している。 警察の作戦は、夜間によく行われる。その時、イスラエル当局者は事前の警告なしに家に侵入する。 警察の戦略は占領中の東エルサレムのパレスチナ共同体に備えて通常温存するからである。 多くの場合、居住者は逮捕され翌朝釈放される。サギーは「これは共同体を破壊しようとすることを意味する」と語った。 パレスチナ人は、多くの場合、ワッツアップグループやフェイスブックを使って イスラエルの襲撃を警告しているが、エイダ・ハラディの厳しい反近代的な生活様式は、 インターネットを使うことを禁止している。 その代わり、「私たちはユダヤ教に適法な電話を持っている」とミンツバーグは言って、 風雨にさらされた携帯電話をポケットから取り出す。 電話は、通話の発信と受信の機能しか持っていない 共同体は、地区での事件や拘束された住民の最新情報を提供する「ホットライン」を開発した。 夜間の襲撃のような緊急時には、ホットラインは登録された番号に呼び出しを送る。 誰かが電話を受けると、電話番号をダイヤルすると、録音されたメッセージが再生される。 モンドバイスが聞いた録音の1つは、大声で気違じみていた: 「シオニストの誘拐犯が家に侵入している!」というメッセージが イディッシュ語で電話のスピーカーから鳴り響いていた。 録音は住民にどの家が襲撃されているかを伝え、数百人の住民に外に集まるよう告げ、 逮捕を阻止しイスラエル軍を地区から追い出そうとする。 グループメンバーが逮捕されると、しばしばイスラエルの当局者との協力を拒否する一方、 他のメンバーは、メンバーが拘留されている刑務所の外で毎日抗議を行う。 メア・シェリアムのすべてのシナゴーグの外に、刑務所に収容されている各共同体のメンバーの名前を掲載したポスターがある。 「共同体全体が彼らのために祈る」為に 「イスラエルへの脅威」 一方、ミンツバーグは、共同体では彼と他の人々はパレスチナ人と同一視していると言う。 「私はこの土地に住んでいる、だから私はパレスチナ人以外の何者でもない」と彼は言った。 ミンツバーグは、グループの厳格な反シオニストの見解は宗教的起源に由来するが、 これらの価値観は彼らの道徳感と融合すると説明した。 同グループのメンバーは、パレスチナの闘いと強い連帯を感じていると彼は言う。 「我々は明らかにお互いに結びついている。我々は同じ歴史と同じ闘いを共有している」。 イスラエル政府は、超正統派ユダヤ人のイメージをパレスチナ人の「敵」に見せかけ、 両者を分裂させようとしていると言ってイスラエル政府を非難した。 「パレスチナ人から我々を分断しようとして、国は多くの資金とエネルギーを投入してきた」と彼は語った。 エイダ・ハラディの2~3の家族は、超正統派のグループであるナトレィ・カルタの活動家である。 それは占領されたヨルダン川西岸のパレスチナ人と共に組織化する。 しかし、パレスチナ人を支援するこれらの小さな取り組みでさえ、イスラエル政府の標的にされ、 閉鎖されることさえ多いとミンツバーグは指摘する。 それにもかかわらず、ミンツバーグは、彼の共同体の闘いはイスラエルに対する強力な挑戦であると信じている。 「我々はイスラエル物語に対する脅威である。なぜなら反シオニストユダヤ人としての 我々が生存し続けることが、イスラエル国家が永続化する全ての神話を否定するからである」と彼は言った。 |