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イスラエルの戦争を戦っている フィリップ・ジラルディ 2017.11.28

最終更新日:2018.03.31


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[元記事]
Fighting Israel's Wars
Philip Giraldi • November 28, 2017, The Unz Review
URL:http://www.unz.com/pgiraldi/fighting-israels-wars/

[著者]
フィリップ・ジラルディ(Philip Giraldi)
CIA、DIA(アメリカ国防情報局)の元対テロリズム専門家で軍諜報将校。コラムニスト、TV解説者。 国益協議会(Council for the National Interest)の事務局長。
CIAで18年間勤務。イスラエルが米国のネオコンと結託して、捏造事件と捏造記事によって、 米国に代理戦争をやらせることを強く批判している。 イラクもイランも米国の脅威ではない。イスラエルこそが真の脅威であるという立場。 政治家が恐れて言わないことをズバリ言っている。当然ながらユダヤコミュニティからの激しい攻撃にさらされている。



  アメリカ兵とイスラエル兵


ロバート・ミューラー特別検察官がワシントンで外国のロビー活動を調査していると報道された。 一方、別の話は、彼のチームがドナルド・トランプとハンガリー人との関係についての申し立てを調査している件である。 両方ともロシア・ゲートについての現在進められている調査の一部である。 私が間違っていない限り、ハンガリーはEU加盟国で、北大西洋条約機構(NATO)のメンバーである。 そこでは比較的自由な選挙が行われ、その結果政府に変化が生じている。

ミューラー委員会以外の誰も、ハンガリー市民との交際がアメリカ民主主義に対して 潜在的な脅威になると考えた者はいない。 また、ロシア人とのミーティングが犯罪か反逆であるとか、モスクワのメディアが米国の放送局以上に 何かをしているという話を、誰も信頼できるやり方で事件にしたことはない。 しかしあなたが主流新聞を読み、MSNBCやCNNを見ていると、そのことを知らないかもしれない。

自立したオブザーバは、このすべてに偽善の匂がする以上に怪しいと注目するかもしれない。 最近、グローバリストの介入主義者 - ネオコン・シンクタンクが提唱する 民主国家安全保障同盟(Alliance to Secure Democracy)には、外国政府が資金を出している。 しかし多分、ミューラーや財務省の外国代理人登録局に邪魔されることはない。

彼あなたが賭けてもいいもう一つの話は、ミューラーが実際にアメリカの政治を妨害している国を 調査していない点である。それは全世界の中の親友イスラエルとの偉大な同盟である。 約10億ドル相当のロビー活動の受取人として、数百人のフルタイム専任スタッフがいます。
[訳者注]イスラエルのロビー活動費約10億ドル
AIPACはイスラエルから資金を受け取っていないという。しかし軍事援助に注意。
・米国の対イスラエル軍事援助:2019-2028年の10年で380億ドル
 引用記事:米国イスラエルに軍事支援 10年間で史上最高額3.9兆円 毎日新聞2016年9月15
・米国の軍事援助 2015年 1.イスラエル 31億ドル, 2.エジプト 13億ドル, 3.イラク3 億ドル
 引用記事:米国の対外軍事支援、75%がイスラエルとエジプト向け CNN 2015.11.12

政治家やメディアを腐敗させたと言ってイスラエルを罰しますか? それとは逆に、公式の休暇期間に入った今、ベンジャミン・ネタニヤフの目を輝かせる多くの 準備中の案件が未決のままである。
最優先事項は、イスラエル政府とトランプ政府が、イスラエルが占領している違法入植地で活動中の 全企業のデータベースを含む国連報告書を葬るために、気違いじみた協力をすることである。
議会は、国連においても「米国の立場」に反対するどんな国に対してもアメリカの支援を停止できる法案を検討している。 混乱が生じないように、ニッキー・ヘイリー大使は、米国の「立場」はイスラエルを批判したり、 反対投票をすることは決してないと明言した。

一方、議会はリストを作成して2度チェックし、イスラエルに対するあらゆる批判を反ユダヤ主義と 同等に扱えるよう面倒な問題を調査している。 そのような行為を実際の刑事罰を伴う憎悪犯罪に変えるための一歩となる。
下院司法委員会は、憲法修正第1条(宗教、表現等の自由)を完全に廃棄することなく、 どうやってそれを行うのか、会議を開いてきた。修正第1条はかつては自由な発言を保証していた。
11月8日には、9人の専門家、そのうち7人がユダヤ人、は「反ユダヤ主義」の定義を成文化する 問題に取り組むために召喚された。イスラエル批判・攻撃に対処する論争の的になる条項を取り入れている。 それはキャンパスで反ユダヤ主義を根絶するために必要な手段だと言われている。

提案中の公民権法改正案は、まだ未承認の反ユダヤ主義認知法で検討されている言葉を使い、 現在の反ユダヤ主義に対する政府承認の範囲を、イスラエルまたはその政策を悪魔化しているとして 相当に拡大するかも知れない。 より広範な定義は、大学への連邦政府の資金提供を妨げることになる可能性があるため、 現実的な結論になるだろう。
現在の大学ではイスラエルに対しする批判的なイベントを組織することが許されている。 幸いにも、聴聞会ではイスラエルが望む結果をもたらなかった。 彼らの信用のために言うが、4人の証人、ユダヤ人全員が反ユダヤ主義の定義の拡大には反対した。 一部の国会議員でさえ、それは遠くまで橋を架けるようなものだと指摘した。

確かにワシントンはイスラエルの目を通して、世界と国内の政策さえも見る傾向があるとの意見がある。 米国はイスラエルとその支持者の行動の自由のために、次第にシオニスト化されているという意見さえある。 それは米国のためではなくイスラエルにその利益を追求する能力を与える。
一例を挙げると、イスラエル勝利幹部会が4月に下院で立ち上げられた。 それはイスラエルが隣国全てを打倒することを提案している。 このイベントの基調講演者は、イスラムは暴力・テロを推進すると信じているダニエル・パイプス(ユダヤ系)で 次のように説明した。
「勝利とは、もはや戦い続けることを望まないよう、あなたの意志を敵に押しつけることである」。 「私がアメリカ政府に言って欲しいのは、「イスラエル、戦争に勝つために必要なことをやりなさい」である」。

イスラエルは、議会とホワイトハウスに自分の意志を押しつけることにこの上なく成功している。 議会のすべての新入議員と配偶者は、自動的に全費用が支払われるイスラエルへの豪華プロパガンダ旅行へ連れて行かれる。 それはAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)関係者によって資金提供されている。
また中東で何が起きているかについて「事実」を見つけるため、エスタブリッシュメント政治家によって年中頻繁に補足されている。 それは納税者が資金を提供する議員視察団(CODELS: congressional delegation)である。 議会の休会中、議員はしばしば、自分の地区の問題に対処するよりも、イスラエルを訪問しているほうが多い可能性がある。 そして彼らはイスラエル政府の政策を何でも日々まくしたてる。

また「イスラエルの方法」による米国の警察の訓練もある。それは政府と財団の両方が資金を提供している。 ショシャナ・ブライアン(Shoshana Bryen)は、ユダヤ国家安全保障局(JINSA)の前事務局長で 現在はユダヤ政策センターに所属している。彼女は米国の国家安全保障職員の洗脳に関与し、 最近ではそ方法を次のように書いている:
「私は、アメリカの400名以上の安全保障専門家、主に退役したアメリカの提督と将軍を、 イスラエル旅行に連れて行きました。私は卒業した500名以上の士官学校の幹部候補生と海軍少尉候補生を、 配属前にイスラエルに送りました。 彼らは皆、米国とイスラエルを導く根本的かつ奥深い原則を理解していると言えるでしょう。 彼らは、イスラエルの政治、イスラエル防衛の選択、あるいはイスラエルの政治的、軍事的、 社会的な生活の全ての側面にいつも同意するとは限りませんが、 ユダヤ人とイスラエル国家との関係を信じない者はいませんでした。 米国の軍隊は、ですから、シオニストの機関です」。

先週の月曜日、パット・ラング大佐(元特殊作戦)将校と防衛諜報サービス責任者はブライアンの主張を検討し、 次のように書いている。
「これは未解決の問題であるが、答えはイエスと思われる。 米軍は、現在、イラン、シリア、イラクでイスラエルの政策目標に完全に焦点を当てているようだ... イスラエルは、イランが中東のライバルとして去勢され抹殺されることを望んでいる。 イランの噂の核兵器計画は、イスラエルのイランに向けた政策目標の一つに過ぎない。 イランに対するモーゲンソー・スタイル(ドイツの産業を破壊し農業国に戻す)の目標を達成するために、 イスラエルはイラン同盟国のシリアとヒズボラを破壊しようとしている... アメリカの将校をシオニストにするプロセスは長い間続いている」。
「私が1962年に軍隊に入隊したとき、将校団はイスラエルにほとんど関心がなかった... [1967年の]戦争はその転換点だった。 イスラエルの完全勝利はほとんどの人にとって予想できないものだった。 アメリカ人は攻撃的なスポーツとの類推で精神的な影響を受け、イスラエルは勝者であった。
これは、米国海軍リバティ号への攻撃がイスラエルの空軍と海軍により一日中繰り返されたにもかかわらず、 大きな違いをもたらした。 リバティ号はエジプト沖に停泊中のアメリカの情報収集船だった。 ジョンソン大統領は、この地域の米国の空母機動部隊による反撃とその後の海軍捜査を抑えた。 彼の政策は、イスラエルを相対的には完全に支援するものだった」。
「ショシャナ・ブライアンによって説明された教育と条件付けプログラムは、 それ以来本格的に始まり、AIPACの傘下にある現代にまで至り、関連組織であるユダヤ国家安全保障局(JINSA)まで浸透していった。 このプログラムは、大変な成功を収めています。その結果、上級者やそれほど上級者でない将校でも、 イラン、シリア、レバノン、パレスチナ、現在のサウジアラビアに対するイラエルの政策を無意識に支持します。 少数の訓練され教育のある米国人将校は無視されるか、技術的な専門家として扱われ、 声を上げるとドアを閉められたりする。」

イスラエル賛美がアメリカの企業精神にどれだけ深く吹き込まれているかは、 ナショナル・インタレスト・ウェブサイトに掲載された最近の記事で見られる。 イスラエルの退役大佐シモン・アラドが書いたこの記事は、以前はこのサイトに貢献していたようだが、 その主眼はイスラエルの軍事最先端を脅かさないとイスラエルが認めた時だけ、 米国は中東に兵器を売るべきであるという主張である。 言い換えれば、米国の防衛産業と国家安全保障の取り決めは、イスラエルの利益に従うべきであり、 ネタニヤフ政府が拒否した場合、それに服従すべきである。

「イスラエルの最大の恐怖:F-35によって口火を切られた武器競走」と題されたアラドの上から目線の作品は、 イスラエル人がアメリカの人形を操る際にいかに傲慢なのかを実証するために良く読まれるべきである。
アラドは、イスラエルが米国の納税者から無料で受けとる戦闘機に匹敵する先進の戦闘機は、 どれほど友好的で戦略的に価値があっても、いかなるアラブ諸国にも売却されてはならないと主張する。
新しいF-35がアラブ人に売却されないという以前の約束は、 「先進的な戦闘機を湾岸諸国へ販売することに対するイスラエルの黙認に重要な影響を与えた...」と語った。 黙認がキーワードで、イスラエルは、権利として、議会に圧力をかけてそのような販売を止める選択肢を 持つべきであるということを意味する。
アラブ首長国連邦への販売がどのように「危険な先例」となるのかをアラドは説明し続けているが、 米国がそのような動きに決して脅迫されないため、イスラエルの利益についてのみ話をしている。 彼は、「イスラエルは、湾岸諸国やアラブ諸国にF-35を売ることに激しい反対を表明しなければならない」と結論づけている。

初期の記事では、アラドはアラブ諸国に高度な防空機器が売られていることに不満を言っていた。 恐らくイスラエルが彼らを爆撃することがより難しくなるからである。 なぜアメリカの刊行物が、米国の実際の利益と大きく異なり、かつ狭く解釈したイスラエルの利益を宣伝する説教壇を イスラエルに提供すべきなのかは明確になっていない。
サイトの読者は、明らかに、ほとんどのコメントがアラドとイスラエル両方に対して 非常に批判的だという見解に同意している。 アメリカの3つの主要な軍事集中領域、クウェートの5つの基地、カタールのアル・ウデイド空軍基地、 そしてバーレーンの第5艦隊の本拠地と海軍中央司令部は、全てアラブ諸国にあり、 イスラエルが絶対にできない方法でワシントンを受け入れている。
イスラエルがほぼすべてのイスラム教徒を敵と見なしていると疑がっている国々をリストに載せることは、 アメリカ自身の利益にはならない。 しかしこれはワシントンとテルアビブの間に蔓延している偏った関係の不幸なパターンであった。

小さなイスラエルによる忘れっぽい巨大な米国の官僚機構の主要分野の浸透は、 それにしても驚くべきことである。 しかしそれは高度に焦点を合わせ十分な資金を持つ強力な国内ロビーにより成し遂げられている。 それは政治とメディアに驚くほどアクセスしている。
元統合参謀本部議長のトーマス・モーラー大将が以前に言ったように、 「アメリカ大統領はイスラエルに立ち向かうことはできない」。 彼は議会やペンタゴンもその告訴に加えるべきであったが、彼の言ったことは、残念なことに、 1997年のコメントのときよりもより真実になっている。


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