記事一覧
海外ニュース, 記事翻訳, 動画字幕化
シリア紛争

プーチンが激烈な演説で発表した6つのスーパー兵器 2018.03.01

最終更新日:2018.04.09


リンク:記事一覧


[元記事]
Here's The Six Super Weapons Putin Unveiled During Fiery Address
By Joseph Trevithick, March 1, 2018, The War Zone
URL:http://www.thedrive.com/the-war-zone/18906/heres-the-six-super-weapons-putin-unveiled-during-fiery-address




ロシアの国会議員とその他の政府高官の前で、ビデオ映像とコンピュータグラフィックスを使った 熱烈な国家声明(一般教書演説)を発表し、ロシアのウラジミール大統領は、原子力推進で核弾頭を搭載する 事実上無制限の射程を持つ巡航ミサイルを含む数多くの新しい核兵器やその他の高度兵器を所有していると主張した。 これらの開発は、米国のミサイル防衛計画に対応したものであり、 様々な武器規制協定をめぐってクレムリンと米国政府との間の緊張を一層高めている。

プーチン大統領は、2018年3月1日にクレムリン近くのマニエ・セントラル・エキシビジョン・ホールで演説した。 何人かの議員は、プーチンが様々な武器開発計画の詳細を説明するとき、微笑んだり応援したりした。 これらは、原子力エンジン搭載の巡航ミサイルや、公式にはRS-28サルマットと呼ばれる大陸間弾道ミサイル(ICBM)、 以前は知られていなかった核弾頭搭載のアヴァンガード(Avangard)超音速推進滑空機、 核搭載の無人潜水移動体Kanyon(米国コード名)またはStatus-6(ロシアコード名)、 キンジャール(Kinzhal)と呼ばれる核搭載型と従来型の空中発射超音速巡航ミサイル、 米海軍のAN/SEQ-3レーザー兵器システムと類似の短距離レーザーシステムを含んでいる。

プーチン大統領は、「誰も私たちの言うことを聞かなかった」、「今、私たちの言うことを聞いています」と語った。

無制限の射程を持つ原子力推進巡航ミサイル

この発表で最も目を引くのは、明らかにまだ知られていない原子力推進巡航ミサイルである。 基本的なコンセプトは新しくないが、最終設計の機能性と信頼性によっては、ゲームを変える可能性がある進歩である。

ロシア軍のこのミサイルの構成は不明だが、1960年代に米空軍は超音速低高度ミサイル(SLAM)と 同様のアイディアを検討した。この兵器は原子力推進ラムジェットを使用し、 従来のロケットブースターを使ってシステムを起動する。 適当な速度に達すると、エンジンは原子炉に空気を吹き込む。 原子炉は数週間または数ヶ月間運転できる燃料(ウラン)を持っており、排気ノズルから (加熱・膨張した)空気を噴出して推力を発生させる。

[Youtube動画] Russian Nuclear powered cruise missile with unlimited combat range
URL: https://youtu.be/pXJIhEDZ2Ik


理論的には、このシステムはの射程距離は無限である。 プーチン大統領が発表で使ったコンピュータグラフィックスでは、ミサイルはロシアから大西洋へのコースをとり、 南米のケープ・ホーン周辺を飛行し、その後ハワイで標的らしきものを攻撃した。

極低高度で遠回りのコースを高速飛行することにより、ミサイルは地上および衛星の 早期警戒システムとミサイル防衛迎撃機を回避できる。 双方向のデータリンクにより、飛行中にコースを変更して相手をさらに混乱させたり、 撃墜しようとするとさらに積極的に対処できる。 米国の超音速低高度ミサイル(SLAM)のコンセプトには、複数の核弾頭を搭載した設計も含まれており、 途中で別の標的に落とすこともできたが、ロシアのシステムに複数の場所で攻撃できる機能が含まれているかどうかは不明である。

飛行中の原子力推進巡航ミサイル


プーチン大統領は、「世界は誰もそんなものを持っていない」と述べた。 「いつか現れるかもしれないが、その時までに我々は新しいものを開発するだろう」。

原子力推進システムの主な問題は、安全性と環境への害である。 米国が音速低高度ミサイル(SLAM)や他のプロジェクトのために開発した原子力ラムジェットは、 十分小さくミサイルの中に収まるので、危険な放射線を覆うシールドはなかった。 排気噴出炎には残留核分裂性物質も含まれていた。それは敵の支配地域か否かによらず、 目標に向かう地域を汚染するだろう。

プーチン大統領は、2017年に推進システムの試験が行われたと言っているが、 これが飛行中だったのか地上だったのか、どのような条件下だったのかは触れられていない。 実際のもでのではあるが解像度が粗いビデオが発表のこの部分に該当するが、 実際の巡航ミサイルの試作機かどうかは不明であった。

核兵器装備超音速推進滑空機

加えて、ロシアの大統領は、アヴァンガード(Avangard)と呼ばれる核搭載の超音速推進滑空機を公開した。 それは将来、RS-26リバス(Rubezh) ICBMを予定している このタイプの武器は、空中で非常に異なる軌道を飛行し、 急速な進路変更を行うことができ、従来のICBMとは異なる航跡をとり、検知器や防衛システムで見つけ難くできる。

[Youtube動画] 'It's like fireball guided to target': Putin on Russia's new hypersonic gliding warhead 'Avangard'
URL: https://youtu.be/dVeQ6S8AMjk


その速度はマッハ6以上で、大気中を飛ぶ従来の航空機よりも敵が対応できる時間が劇的に短い。 つまり全然発見されないことさえあり得る。プーチン大統領は、アバンガードは音速の最大20倍で、 「隕石か火球のように」標的に命中すると語った。

プーチンの演説で、極超音速推進滑空機が、地上と衛星をベースとした検知器やミサイル迎撃機をかわして標的に無傷で到達できるかを示す。


このため、これらのシステムは、無警告か短い警告で決定的に重要な目標を攻撃するのに理想的である。 例えば敵の戦略的能力、航空・ミサイル防衛施設、指揮統制施設、軍や民間の指導者を含む移動標的も同様である。 2017年9月、ロシア人はアヴァンガードの試作機だったかもしれない「先進的戦闘用弾頭」を備えた RS-12M トーポリ(Topol)ミサイルをテストした。
この種の武器の潜在的能力については次を参照。
[関連記事] Here's How Hypersonic Weapons Could Completely Change the Face of Warfare

より有能なヘビー級ICBM

この超音速推進滑空機は、間もなく登場するRS-28サルマットICBMについての数多くの噂の機能の一つである。 2014年から開発が公表されており、ロシアの専門家によれば2021年には実戦配備を開始する予定である。 このシステムはをNATOはSS-X-30 Satan 2とも呼んでいるが、これはロシアのサイロ格納式の古い ICBMであるR-36MまたはSS-18 Satanを置き換えるものである。

RS-28は古いR-36Mよりも著しく高速であると言われており、独立した動作が可能な複数の弾頭を搭載している。 超音速推進滑空機の弾頭の可能性を越えて、他の報告では、部分軌道爆撃能力 (Fractional Orbital Bombardment Capability)を備えており、再突入時に短時間で低軌道に侵入し、 (レーダーから)「消える」ので、目標に向かって降下し衝突する前に追跡が困難になる。

[Youtube動画] Putin: New hypersonic Sarmat ICBM capable of overcoming missile defense systems
URL: https://youtu.be/fym8DAPbUOI


もう一つの可能性は、ロシアが2017年10月に既存のRS-24 Yars ICBMでテストしたかもしれない 独立したポストブースト・ビークル(IPBV)である。RS-24 Yars ICBMについては次を参照。
[関連記事] Russia Tests Modified RS-24 Ballistic Missile With an "Experimental Warhead"

いずれにしても、コンピュータで生成されたサルマットは、恐ろしいことにフロリダに落下する 多数の独立弾頭を表示している。

SS-28からの弾頭がフロリダに落下


核武装の水中無人機

さらに、プーチン大統領は、核兵器を搭載した無人潜水移動体に取り組んでいることを公に発表した。 これらの兵器の開発は何年も前から行われていると多数の報告があったが、明確な公式発表はなかった。 プーチン大統領によると公式の名前はないが、2015年にシステムに関する情報が初めてに流出して以来、 オブザーバーはKanyon(米国コード名)、Status-6(ロシアコード名)と呼んでおり、 ミサイル防衛を避けるための全く異なるアプローチである。

[Youtube動画] 'Stealthy submarine': Putin presents new underwater drone
URL: https://youtu.be/LI2nQYqobeo


海岸から離れて潜水艦から発射された水中無人機は、センサー網やその他の防御手段を避けて、 目標地点に向かい、報道によれば汚れた弾頭を爆発させすぐに大きな被害と汚染を引き起こす。 運搬手段に関するコンピュータ生成のプレゼンテーションでは、 オスカーII級潜水艦が特別な前方コンパートメントに2本の無人機を搭載している。

プーチン大統領は、無人機は従来の潜水艦よりも「100倍小さく」なると言っているため、発見が特に困難である。 また「極端な深度」や「すべての潜水艦、最新の魚雷、あらゆる種類の高速船舶の速度を大幅に上回る速度」 で移動することも可能で、目標領域に到達する前に、敵が位置を突き止め迎撃することは困難である。

核武装の水中無人機が、改装されたオスカーII級潜水艦の格納庫から出現


これまでの報告書やビデオでは、武器が大型であることが示唆されている。これは新しい特殊な母船を必要とするかもしれない。 プーチンのこのシステムに関する議論とペアーのビデオプレゼンテーションでは、従来型の魚雷に近いように見えたが、 これが核兵器を搭載した無人機の代役なのか、それとも目標に近づくと武器を発射するのかどうかは明らかではない。

この無人潜水移動体に原子力発電機も装備していると言われている。 考えられる限り潜水艦が運搬し、世界のほぼどこからでも発射できると考えられる。 ロシア人は、このシステムを水上艦艇のタスクフォースを攻撃する手段として構想しているようである。 コンピュータ生成したすべての例は、空母打撃軍、海軍基地、港湾を含むアメリカのデザインに基づいている。

輸送容器内の核武装無人潜水移動体。平らな鉄道車両に固定されており、巨大な印象を与える。


極超音速巡航ミサイルとレーザー

プーチン大統領が最後に発表したミサイルシステムは、キンジャール(Kinzhal)空中発射型の極超音速ミサイルで、 MiG-31フォックスハウンド迎撃機が運搬し発射する。 そのジェット機が主要発射プラットフォームであるかどうか、またはこのシステムが核兵器であるか どうかは明らかではない。伝えられるところによれば、約1,250マイルの射程距離と音速の10倍以上の最高速度を持っている。 ロシア大統領によると、ウクライナと黒海に接する南部軍地区の部隊は、ミサイルを運用可能状態で配備している。

[Youtube動画] Russia unveils new hypersonic missile «Dagger»
URL: https://youtu.be/cUjkBzJC9L8


ロシアは、ジルコンと呼ばれる極超音速ミサイルに取り組んで来たと発表した。 プーチン大統領の演説中、キンジャールが水上艦艇を攻撃するコンピュータグラフィックスが表示された。 報道によれば陸上攻撃能力も持っているらしい。 2つの兵器がどういった関係にあるのかは不明だが、 キンジャールは海上発射のジルコンミサイルの航空機搭載型かもしれない。

キンジャール極超音速巡航ミサイルを搭載したMiG-31フォックスハウンド


一般にこれらのタイプの武器は、通常、ロケットエンジンを使ってある種のジェットエンジンを始動し、 最低でもマッハ6に加速し、既存の陸上および衛星の探知機で見つけ難くする。 急速なコース変更や不規則な飛行をする能力を既に持っているため、 兵器の速度は、航空機レーダーや地上レーダーが追跡し、迎撃機やその他の近距離防衛システムに 知らせることを非常に難しくしている。

超音速推進滑空機と同様に、これらのミサイルがゲームを変える可能性がある。 ロシアのジェットに長距離から無警告ないし短い警告だけで敵の船や陸上目標を攻撃する能力を与える。 その主要な役割と想定されるものは、アメリカの空母や他の軍艦にとっては大きな脅威であり、 現時点ではそのような武器に対して何の防御手段もない。 また、この機能は、時間に敏感な目標を攻撃するのに最適である。 クレムリンは、発見・情報収集から攻撃までの時間を短縮し、敵がより安全な場所に移動する前に攻撃できる。

これら全てのシステムの後では、トラック搭載のレーザー砲は、はそれほど印象的ではありませんが、 依然として重要な進歩である。地点防御システムとして、この指向性エネルギー兵器は、 様々な既存のそして新たな脅威、特に小型ドローンを無効化するために役立つ可能性がある。

今年の初めに、シリアのロシア基地は、大量のドローン攻撃を受けていることに気づいた。 それに対しては移動式レーザーが他の防空システムや電子システムの有用な追加機器になるだろうと考えられている。 このためロシアは実際にこの分野で能力向上のために限られた資源を投入している。 まだ概念だけの高高度航空機に搭載する衛星攻撃用レーザーシステムに関する最近の報告書は、 大いに空想的であるのだが。

短距離レーザー防衛システム


ロシアの強さの表示

「過去15年間の軍拡競争に邁進し、ロシアに対して一方的な優位性を獲得しようとし、 我々の国の発展を阻止することを目的とした違法な制裁を導入した全ての人に私は言いたい。 あなた方が政治的に妨害しようとした全てこととは既になされた」。プーチン大統領は2018年3月の演説で述べた。 「あなた方はロシアを封じ込めることができなかった」。

プーチン大統領が指摘した「一方的な優位性」は、ほぼ確実に米軍のミサイル防衛計画であり、 イージス・アショアの地上発射弾道ミサイル迎撃基地を欧州に置くことを含む。 米国は、弾道ミサイル防衛シールドのいかなる部分も、ロシアや中国などの核大国の抑止力に 挑戦するものではないと繰り返して否定しており、代わりに北朝鮮やイランなど 小規模勢力に対する防衛に重点を置いていると言っている。 その意図が何であれ、アメリカの弾道ミサイル防衛シールドは、実際にはロシアの核抑止力を無効にすることはできない。

問題の「違法制裁」は、ウクライナのクリミア地域の一方的かつ不法な併合の余波としてロシアに課された、 米国やその他の国々、特に西側諸国の経済制裁である。 特に米国政府はウクライナ東部のドンバス地方での一触即発の紛争、 シリアの残虐な独裁者バシャール・アル・アサドに対する支持、 2016年のアメリカ大統領選挙への干渉にロシアが関与したとして、経済制裁を強化した。

米国とロシアはこれらの問題に関して増々争いを拡大している。 それは様々な兵器制限協定にも連鎖的な影響を及ぼしている。 The War Zoneのこれまでも何度かこの問題について深く検討してきた。 両国は中距離核戦力全廃条約(INF)に関して緊張状態で睨みあってきた。 その条約は双方が開発して配備できる核兵器などの地上ミサイルの種類を制限するものである。

米国との緊張

ロシアがINFを侵害していることは良く知られている。 一方クレムリンは、ポーランドとルーマニアの地上ミサイル発射機で、米軍が同じことをしていると言っている。
[訳者注] 次のアノニマスの翻訳記事、動画を参照。
米・ロシア核戦争への道 InfoWars, Dr.Paul Craig Roberts 2016.07.28

プーチン大統領は、SSC-8の地上発射核巡航ミサイルについて言及しなかった。 これは米国がINF条項違反と言っているが、クレムリンはその存在を公表していない。

現在、米国はそれに応じて、自身の条約違反のミサイル開発をすると公然と脅迫した。 それには小規模の核弾頭を持つ海上発射型核巡航ミサイルの計画に対する最新の核態勢見直し(NRP)を含んでいる。 ジェームズ・マティス国防長官を含む米上級幹部は、この開発計画を放棄する提案は、 将来の軍備管理交渉において有力な交渉の切り札になる可能性があると言っている。

「我々は、ロシアとその同盟国に対する核兵器の使用を、どんなに強力であっても、小規模、中規模、 あるいはどんな規模のものでも核攻撃として解釈する」とプーチンは言った。 それはNPR提案のより「柔軟な」小規模核兵器の開発に対する直接の答えである。 「それによって起きる全ての結果に対して即座の返答を引き起こすだろう。誰もそれについて疑うべきでない」。

この新しいミサイル開発の混乱は、容易に再び、計算(見通し)を変える可能性がある。 ミサイル防衛態勢に関する今後の米国の軍事的見直しが、実際には、少なくとも部分的には、 ロシアと中国を目標とする公式の政策となる可能性があるという報道は既になされている。

この出来事の後について話すと、ロシアのセルゲイ将軍国防相は、米国の欧州、アジアおよびその他の同盟国が、 米国製ミサイル防衛に投資したいかどうか再考すべきだと暗示した。 「彼らが今、なぜ[穴だらけ]の「傘」を買うのか私は分からない」とセルゲイは言った。 特に韓国と日本のミサイル防衛計画に関しては。

セルゲイ・ショイグ国防長官、プーチン大統領、そしてプーチン大統領、シリアでの戦闘に参加したロシアの軍人を敬う2017年12月のイベントに出席。


ロシアとその変動する経済が、これら様々の高度な兵器システムの開発を支えることができるかどうかについて、 いつも重要な質問がある。 制裁と世界的な石油価格の下落が続いているため、2017年には国防費の大幅削減を余儀なくされた。

また、プーチンの弁舌のどれくらいが、ロシアの大統領として再選を目指す動機によるか明らかではない。 専門家とオブザーバーは、2018年3月後半の自由で公正とは言えない選挙で容易に勝利すると広く信じているが、 野党の政治家や政治集団は重要な抗議活動を開始し、彼のリーダーシップに挑戦し批判し続けている。

プーチン大統領は、「新しい現実を評価し、私が今日言ったことがはったりではないと悟らなければならない」と指摘した。 「それは、はったりではない、私を信じなさい」。

ロシアが様々なプロジェクト、とりわけ原子力推進巡航ミサイルをどの程度進めているのか、まだ分かっていない。 ロシアが計画通りに進めるための資源を持っているかどうかは疑問だが、 これらのシステムの1つか2つだけが実現しても、非常に不安定化できる可能性がある。

少なくともこの発表は、ロシアのますます積極的な外交政策とクレムリンと米国政府との間の 高まる緊張のもう一つの憂慮すべき指標である。


[訳者コメント] 戻る=>page top

ロシア経済は石油価格で大きく変動する。ロシアの最近のGDPは日本の1/3以下、軍事費は日本より多くて7兆~10兆円だが、 米国の1/10~1/7程度。なぜこれで米国を上回る軍事技術を持てるのか不思議である。 所詮、全てが腐敗する金融帝国では、愛国者国家には技術で勝てないということではないのか。