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ロシアの新兵器システムの意味 2018.03.05

最終更新日:2018.04.21


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[元記事]
The Implications of Russia's New Weapon Systems
Andrei Martyanov, March 5, 2018, The Unz Review
URL:http://www.unz.com/article/the-implications-of-russias-new-weapons/


[著者]
Andrei Martyanov
ロシア人。経歴について整った紹介記事はない。作家を目指していたが、当初は救急隊員として働いた。 1996年から出版界で翻訳の仕事に携わる。 現在は批評家として活動中で、有名なThe Saker氏のバックアップがあるようだ。




2008年8月のロシア・ジョージア(グルジア)戦争で、ロシア第58軍の作戦は「平和への強制」と呼ばれました。 本当に危機に瀕していたことを思い出すと、適切な用語です。 ロシアはその戦争に勝利し、実際にジョージアをより平和な雰囲気へと強制しました。 クラウゼヴィッツの言葉では、ロシアは敵にロシアの意思を押しつけて戦争の主目的を達成しました。
ロシアは、過去19年間の出来事が示すように、連合した西側が合理的で文明的な行いをする可能性について、 これ以上全く幻想を持つことはありません。 まだバブルの中に住み続けており、外部からの良識と平和の声を遮断している米国は特にそうです。 ここ数十年のアメリカのグローバルな実績は、特に詳しく述べる必要はありません。 それは軍事的および人道的災害の記録です。

ウラジミール・プーチン大統領の2018年3月1日のロシア連邦議会への演説は、 選挙に取りつかれた西側諸国の多くが言ってますが、ロシアの次期大統領選挙についてではありません。 プーチン大統領の発言は、米国のエリートに向けたもので、平和ではないにしても、 少なくともある種の正気を強制するものでした。 それは彼らが新興世界の地政学的、軍事的、経済的現実を現在のところ全く認識していないことを考慮してのことです。2008年のジョージアの事件のように、強制は軍事力に基づいていました。ショイグ(Shoigu)国防相以前のロシア軍は、現実で明らかな欠点があったにもかかわらず、米軍に訓練され一部は米軍装備を持つグルジア軍を5日間で打ち負かしました。ロシア軍の技術、人員、作戦技術、単純に優れていました。 明らかにロシアと米国の間でこのようなシナリオはあり得ません: もし技術的優位性のアメリカの神話がを打ち負かされる場合を除いては。

米国の権力エリート、その多くは軍務に一日もついたことがなく、 本格的な軍事教育機関に出席したこともありません。 重大な軍事技術や地政学的問題に関する彼らの専門知識は、核兵器セミナーに限られています。 良くても、議会調査局が努力では、軍隊の複雑さ、性質、応用方法を把握する資格がありません。 彼らは単純に基準に達していません。いまだに、アメリカのポップ・ミリタリー文化、 軍隊ポルノやプロパガンダとしても知られているものが作られています。 これらの人々は、弁護士、政治的 "科学者"、社会学者の集まりで、アメリカの戦略的な台所を支配し、 絶えず妄想の地政学と軍事理論を料理しています。

プーチン大統領の米国へのメッセージはきわめて単純でした。 彼は、弾道弾迎撃ミサイル制限(ABM)条約でのロシアの立場を考慮することですら威張って 拒否したことを米国に思い出させました。 ジェフリー・ルイス(Jeffrey Lewis)が、しらふで驚いて、外交政策マガジンに次のように書いています:

ロシアの新世代の奇妙な核兵器の本当の起源は、最近の核戦力態勢の見直しではなく、 ブッシュ政権の2001年の弾道弾迎撃ミサイル制限条約脱退の決定と、ブッシュ、オバマ政権の失敗の結果である。 プーチン大統領は彼の見解で多くを述べました。「一方的な米国のABM条約からの撤退以来」とプーチンは説明し、 「我々は先進的な装備と武器に集中して取り組んできた。 そして戦略兵器の新しいモデルの開発で飛躍的進歩を手に入れた」と述べました。 その技術的進歩は今ここにあります。悲しいことに、私たちは必要とする外交を手に入れられません。


  RS-28 Sarmat(SATAN2)ballistic missile


プーチン大統領のメッセージは明らかだった:「あの時、あなた方は私たちの言うことを聞かなかった。 今は聞くだろう」。 彼は軍事技術の真珠湾攻撃がスタリングラードの戦いと出会ったとしか言いようがないものを推進しました。 プーチンが提示した最新の兵器システムの戦略的な影響は非常に巨大です。実際、それらは歴史的です。
もちろん、多くの米国の専門家は、予想通りそれを否定し、米軍の「専門家」コミュニティの期待通り、 虚勢を張りました。他の専門家は否定せず、実際に深刻なショックを受けた者もいました。
プーチン大統領のプレゼンテーションの後の現在の全体的な印象は、次のような単純な言葉で表すことができます: ミサイル格差が現実にあり、実際には格差ではなく技術的な断崖絶壁です。
逆説的にではあるが、この絶壁は多くの人が認めるものではありません。 RS-28サルマット弾道ミサイルのような考えは、存在し概略の特性は多かれ少なかれ長年知られていました。 それは、目覚ましい技術的成果であり、事実上無制限の射程だけでなく、 あらゆる種類のミサイル防衛を無力化する飛行経路も可能としたことは否定できません。 結局、南極から南アメリカを通過して攻撃されることは、米軍が対応できる事態ではありません。 たぶん長年できないでしよう。

  Air-launched hypersonic Missile Kinzha


西洋の専門家は、これらの奇妙な、間違いなく驚くべき武器システムについて議論していました。 それは非常に高い精度で地球上の任意の地点に核兵器を運搬するために設計されています。 ダッガー(キンジャール:Kinzhal)が発表されたときに、多くの本物の専門家は喘いでいました。 これは、地政学的、戦略的、運用的、戦術的、心理的に完全にゲームを変えます。
ロシア海軍が既に革命的なマッハ8で飛行できる3M22ジルコン対艦ミサイルを既に配備していたことは、 かねてから知られていました。目覚ましく、どんな防空でもほとんど迎撃できないジルコン、 キンジャールは単純にその能力でショックを与えています。 これはおそらく有名なイスカンダール(Iskander)の機体に基づいており、マッハ10の高度に 機動的な弾道ミサイルで、2000キロメートルの航続距離を持つMiG-31BMに搭載されます。 それは海軍の戦争に関する本を書き直しました。
それは大型の水上艦艦隊、戦闘艦を時代遅れにしました。いいえ、あなたは誤解していません。 世界の防空システムや迎撃ミサイルシステムのどれも(超音速ターゲットの迎撃用に特別に設計された 今後現れるS-500を除いて)何もできません。おそらく解毒剤を見つけるのに何十年もかかります。 もっとはっきり言えば、今日NATO艦隊が配備している現代の、そして将来展望の防空システムは、 そのような特性のミサイルを一発も迎撃できません。 そのようなミサイルを5~6発一斉射撃すれば、核兵器を使わず、空母機動部隊や他の海上艦隊を確実に破壊できます。

そのような武器の使用は、特にロシアの南部軍区に既に配備されていることが知られていますから、 非常に簡単で、MigG-31のミサイルの発射地点は黒海の国際水域にである可能性が最も高く、 水上艦艇や艦隊に対して東部地中海全体を封鎖できます。 ロシアはペルシア湾を完全に閉鎖することもできます。 また太平洋には、大規模なノー・ゴーゾーンを作ることができます。 MiG-31BMがカムチャッカのイェリゾヴォか、プリモスキー・クリイのセントラルナヤ・アグロバヤ (Centralnaya Uglovaya)空軍基地から、海上で広範囲にパトロールできます。
しかし、キンジャール(Kinzhal)の現在のプラットフォームはMiG-31で、 おそらく歴史上最も優れた迎撃機であることは注目に値します。 明らかに、高速超音速のMiG-31の能力(マッハ2を上回る)は、発射の重要な要素です。 しかし、この恐ろしい武器の発射手続きがどうであっても、 キンジャールの運用展開での直接の戦略的結果は次のとおりです。

1.最終的に、弱く無防備な敵に対する戦力投射であっても、空母を地中海、太平洋、北大西洋のような ロシアから遠い海域に追い払えます。 これはまた、米国の弾道ミサイル防衛に不可欠な33隻のイージス装備の米海軍駆逐艦、 巡洋艦がいない完全な無人ゾーンを意味します。

2.同等の敵に対する主力打撃部隊として、古典的な空母機動部隊(CBG:Carrier Battle Group)は 完全に時代遅れで無用になります。また防空、迎撃ミサイルの能力にかかわらず、 あらゆる水上艦艇を無防備にします。それは、装備艦艇や武器への何十億ドルもの投資を無効にし、 突然太った無防備なターゲットにします。 米国の世界支配の基礎となっている地球規模でのエアシー・バトル、 別名JAM-GC(Joint Concept for Access and Maneuver in the Global Commons)の全体概念は、 単純に役に立たなくなります。これは政策と財政の大惨事です

3.海洋支配と海洋接近拒否は融合します。そのような武器を所有する側は、 単純にキンジャール(Kinzhal)とその運搬手段の航続距離の範囲で広大な海域を所有します。 それはまた、領域内の潜水艦にとって死活な海上支援を完全に無効にし、 パトロール/ASW航空機と水上艦艇に潜水艦を晒してしまいます。効果は掛け算で効き深刻です。


  MIG-31BM with Kinzhal missile


ロシアには運搬手段が数多くがあります。MiG-31sからMiG-31BMへの近代化のプログラムは、 数年前から全力で進められました。前線の空軍部隊には、これらの航空機がかなり配備されました。 そのような近代化が行われた理由は明らかです。 MinG-31BMをキンジャールの発射プラットフォームにするためでした。 ジェームズ・L・ジョーンズ海軍大将が1991年に記録したように、第1次湾岸戦争後、 「それは戦闘群はパニックを引き起こし、誰かが50ガロンのドラム缶を数個落とすのを目撃しています」。 キンジャールは、 自殺攻撃でない水上艦艇をロシアの海岸から何千キロも離れさせ、その能力を時代遅れにします。 素人の言葉では、ただ一つのことを意味し、米海軍の全水上艦艇は、完全に空虚な部隊になり、 弱い国や発展途上国の近海や領海でのパレードや旗のデモンストレーションだけにしか役立ちません。 これは米国のプラットフォームや武器の天文的なコストのほんのわずかなコストで実現できます。

この段階でプーチン大統領の米国での政治的な影響を、完全に予測することは非常に困難です。 簡単に予想できることは、不均衡という使い古された決まり文句を使用することです。 この文句を使うことは間違いです。 今年3月1日に起きたロシアの新兵器の発表とデモンストレーションは、不均衡ではなく、 戦争、軍事技術にまったく新しい枠組みが到来したことへの同意です。 古い規則と知恵は適用できなくなりました。 米国はこれに対し準備していなかったし、していません。 米国を含む多くの現実的な専門家は、次々と現われる軍事・技術の新しい枠組みと 完全な米国の近視眼と傲慢さに警告していたにも拘わらずにです。 ダニエル・デイビス大佐は、次のことを認めざると得ませんでした:

しかし、当時は誇りだったと正当化しましたが、それはすぐに不快な傲慢に変わりました。 今、それは国家にとって非常に危険です。おそらく、ペンタゴンの機能不全の収集システム以上に、 この脅威を良く表すものは何もありません。


予測できる将来に、ロシアに対してアメリカが分別ある技術的対応ができないことを、 米国の戦争への取り組みの背景に照らして、今日予測することは賢明です。 米国には対抗するために、印刷機を動かしその過程で完全に破産すること以外に資源がありません。 しかし、ここにポイントがあります。ロシア人はこの事を知っています。
プーチン大統領の演説は、米国に戦争の意図と目的があっても、 ロシアの大量の超音速兵器に対して単純に無防備であると、直接脅迫しているのではありません。 ロシアは米国を破壊する目的を追求していません。
ロシアの行動は、ただ一つの理由によります。酒場で、酔っ払い、乱暴者、ナイフを振り回す 弱い者いじめに対し銃を取り出し、他人の言葉に注意を払わせることです。 言い換えれば、ロシアは銃をナイフの戦いに持ち出しましたが、 これが今日米国に対処する唯一の方法だと思えます。

ロシアの軍事技術的優位性の警告とデモンストレーションが効果を発揮すれば、ロシアの当初の狙い通り、 新たな世界秩序に関して、主要な地政学的プレイヤーの間で賢明な話し合いが始まる可能性があります。 世界は、思い上がった、権力拡大志向の弱い者いじめに、これ以上与えることはできません。 弱い者いじめは、世界の安定と平和を脅かしていることを知りません。
米国が自分で宣言した覇権、いかなる軍事的覇権とっても本当に重要だった、は終わりです。 それはしばらく前に終わりました。プーチン大統領の演説で、古いカポネの真実をよく実証することになりました。 親切な言葉だけでなく、親切な言葉と銃でもっと多くを得ることができるということです。 結局のところ、ロシアは親切な言葉だけで試しましたが、それは機能しませんでした。 米国それを非難しただけです。


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