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シリア紛争

シリア戦争が終わりに近づく時、ロシア、イラン、シリアの同盟は維持されるだろうか? 2018.05.23

最終更新日:2018.07.16


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[元記事]
Will the Russian-Iranian-Syrian alliance hold as the Syrian war draws close to an end?
By Aram Mirzaei, May 23, 2018
URL:https://thesaker.is/will-the-russian-iranian-syrian-alliance-hold-as-the-syrian-war-draws-close-to-an-end/



ウラジミール・プーチン大統領とバシャール・アサド大統領, ロシアのソチ, 2018年5月17日.

過去数週間は、イスラエルとイランがゴラン高原の近くで対決していると伝えられ、 多くの緊張が高まっているのを目の当たりにしている。 イスラエルはシリアで「イラン拠点」に対して数回の空爆を実施したが、ダマスカス(IRGC:イスラム革命防衛隊)は IDF(イスラエル国防軍)の位置にミサイルを発射して応戦した。 このヒット・アンド・ラン攻撃の結果、シリアのバシャール・アサド大統領は再びロシアに行き、 ロシアのプーチン大統領と会談し、戦争の過程とそれを終結させる政治プロセスについて話し合った。 会談中、プーチン大統領は外国軍がシリアから撤退するだろうと発表したが、 彼は誰に対して言っているのか触れなかった。声明はかなり不可解で、謎めいていた。

「我々は、テロとの戦いにおけるシリア軍の重要な勝利および成功に関連して、より積極的な事態の始まり、 より積極的な段階での政治プロセスの開始に関連して、外国軍はシリア・アラブ共和国の領土から 撤退するだろうという事実から前進する」。

ロシア大統領は、米国とトルコの占領軍がシリアの北部と東部から撤退することをどのように 強制するかについては説明しなかった。

いずれにしても、この声明はテヘランには良く受け取られなかった。 イラン外務省のスポークスマンであるバラム・ガセミは、シリアから全ての外国の撤退についての ウラジーミル・プーチンの声明に反論したためである。

「テロリストの脅威が存在し、シリア政府が我々をそこに望んでいる限り、我々はシリア内に留まる」 とガセミは述べた。これは、ダマスカスが全てのテロリストと占領軍がなくなるまで シリアに留まるようにテヘランに強く要請した後にである。

これら全ての事は、最近のエスカレーションやシリアでのロシアの役割の背後にある意見の 不一致や緊張がなければ、どちらかと言うとちぐはぐだった。多くのオブザーバーは、理解していない。 モスクワのシリアにおける目標は、時にはテヘランやダマスカスの目標と融合しているが、 それは常にではないかもしれないと。 なぜロシアがシリア政府に最先端の兵器を供給しない理由を、何度オンラインで見たことがありますか?  なぜモスクワがイスラエルの侵略に反撃しないのか?  これは、プーチンが5月初旬にネタニヤフと会談した後、シリアにおけるロシアの役割について、 プーチンを裏切り者とさえ呼ぶような多くの混乱を残した。 その会談は、「プーチンはシリアにメッセージを送っていた」という噂の口火となった。

2015年7月まで、ロシアは兵器を輸出し、シリア政府に供給していた。 ロシアはこの時まで、最悪の場合のシナリオでも、シリア政府はロシア空軍が現在作戦している ラタキアのアラワイト州を含む最も重要な地域を支配することができると信じていた。 1年間で2つの重要な出来事がモスクワを勇気づけシリアの戦争に参加した。 第1にウクライナでのクーデターとその結果で、第2はその時のシリアにおける軍の状態だった。 2015年の春には、シリア軍とその同盟軍が広がりすぎており、状況は悲惨になった。 この時、政府軍は全てのシリア農村部から撤退することを決めた。 ワシントンのジハード主義者の巨大な圧力に直面したためである。 またこの時、イスラム革命防衛隊のガーセム・ソレイマーニ将軍がモスクワに行き、 ロシアの高級将校と会って、ロシアの直接介入の必要性について話し合った。

イランだけでは、大量の資金援助と軍事的支援を受けていたジハード派を寄せつけないことはできず、 イラン軍全体をシリアに送り込まなければならなかった。 イスラム共和国はイラン軍を配備してシリアに軍事介入し、すべてを危険にさらす気はあったし、 今もあるが、そのような動きの結果はサウジアラビアとイスラエルも直接介入することになり、 地域戦争を引き起こすだろう。 確かにモスクワは同じ計算をしていたし、実際に事態を沈静化する唯一の方法はロシア空軍の介入だと理解した。

モスクワは戦争を終わらせるためにシリアにいる。新しい戦争を始めるためではない。 エスカレーションを防ぐために全てのことを行う。 ロシアにはいくつかの利害があり、そのうちのいくつかはダマスカスとテヘランの利益と一致している:
1.白人テロリストを排除し、彼らがロシアの土地に戻ることを阻止する、
2.タートゥス(シリア西部)の海軍基地の長期間の存在を確実にする、
3.シリア問題を政治的に解決し、
4.ワシントンが政権交代の課題を達成し、この地域に別の破綻国家を作り出すことを阻止する。

イランとロシアがまず第一に合意できないことは、シリアのバシャール・アル・アサド大統領の重要性である。 テヘランにとってアサドが政権が残っていることが全てであり、 イランがシリア政府を全期間にわたり後押ししてきた理由の全てである。 アサドの生存を確実することがヒスボラの生存を確実にすることをである。 一方、ロシアにとっては、安定したシリア政府があれば十分であり、アサドが政権にいるか政権から去るかは、 モスクワにとってテヘランと同じ重要性を持たない。 ロシアは、昨年まで、アサドが辞任する見通しに対してオープンであった。 ロシアが支持しているのはアサドではなくむしろシリアであり、 一方テヘランはアサドの無条件支持ついて非常に声高だったことは重要である。 最近まで、モスクワがシリアで何を扱っているか、そしてワシントンとのどんな種類の妥協も 失敗する運命にあることを理解したことはなかった。

国境都市アブ・カマルへの入り口

2016年にモスクワは交渉に対して非常にオープンで、ワシントンと数回にわたり全国的な停戦について交渉さえした。 それはワシントンのジハード主義者が再編と再軍備のために停戦を利用し続けたので、 最終的には失敗し、イランとシリアの数人の人命を犠牲にした。 これらの無意味な停戦の価値に関するイランとロシアの間の多くの内部不一致の後に、 モスクワはワシントンを交渉のテーブルにつかせるためには、 優勢であることが必要だと認識しなければならなかった。 その結果アレッポは解放され、ワシントンはモスクワ、テヘラン、アンカラの裏切り者に裏をかかれた。 翌年、特にシリア軍とイランの支援軍が重要な国境都市アブ・カマルを解放した後、ISISは事実上敗北した。 こうして初めてテヘラン - ダマスカス高速道路が再度開通した

ロシアがシリア戦争に参戦して以来、モスクワは北部と中部の軍事作戦を統制しており、 テヘランは南部の作戦を統制しているということが明らかになった。 その事実はイスラエルのシオニスト政権を悩ませていた。 テヘランとモスクワは軍事作戦や複数の最前線の優先順位付けで何度も意見が異なった。 例えば、IRGC(イスラム革命防衛隊)は、南シリアを解放して占領されているゴラン高原に 移動したいとの希望について非常に声高だった。 一方モスクワはこれに反対していたが、モスクワの立場に対するイランの指導力にいくつか 緊張があったにもかかわらず、これら2国は作戦を止めなかった。 テヘランは、ロシアだけがシリア政府に代わってISISとの戦いに注意を移すための 国際的な威信と権力を持っていると認識していたからである。

私が以前言ったように、シリアはイスラエルとイランの間の別個の紛争のホスト役を勤めている。 イスラエルとイランの紛争である。 一方、ロシアとイスラエルは、シリアでの立場の違いにもかかわらず、かなり良い関係を続けている。 テルアビブとモスクワの間ですでに了解がなければ、イスラエルはロシアの介入に対して 穏やかにしていられないだろう。 イスラエルは、ロシアをイラン主導の軍を抑える保証人と見ている。 モスクワは大規模な軍事作戦を主導する能力を持ち、しばしば国の北部と中央部を選ぶことができるためである。 イスラエルは、シリアでのロシアの存在がなければ、イランは何千人もの兵士でその存在を 増強しただろうということをよく認識しているので、イスラエルは例えば、 シリアへのロシアの兵器供給について沈黙している。

ロシアはイスラエルとシリア/イラン紛争の当事国ではなく、 これらの軍隊間での将来の戦争に参加しないことを覚えておくことは重要である。 実際、シリアでの最近のイスラエルの攻撃に照らして、モスクワはテルアビブ、ダマスカス、 テヘランに抑制を示すよう求めた。 これは、ダマスカスとテヘランが大変多くの機会にイスラエルの攻撃に反撃することを 控えているモスクワの主張のためである。 それでもモスクワの目標は、抵抗軸(シリア、イラン、ヒズボラ)の目標と密接に整合しており、 ロシアはシリアでその目的を達成するためにこの同盟を必要としている。 それは結局、地面に重りを吊り上げて政治的解決策が可能であると考えられる道を舗装してきた抵抗軸である。 だからロシアはダマスカスとテヘランが南部のイスラエル軍と交戦することを望んでいないが、 イスラエルが一定の線を越えれば、モスクワはテヘランとダマスカスが報復することを止めることを意味しない。

5月10日の夜、モスクワからの警告にもかかわらず、シリア軍が別のイスラエルの攻撃に 反撃することを選んだ。それはモスクワがダマスカスに青信号を出したか、 ダマスカスがロシアの忠告を拒否して報復したかのいずれかである。 かくして緊張をさらに高めた。どちらのシナリオもあり得るように思えるが、私は後者だと思っており、 それはこの同盟の本質を裏付けている: それは相互利益に基づく同盟で、ワシントンの覇権と脅威に基づく「同盟」とは異なり、 時には意見の不一致を伴う。

現在、ダマスカスとテヘランは、丁度モスクワがイランとシリアの深い関係とその利益を尊重するように、 イスラエルとロシアの関係の動きを尊重する。 ロシアがダマスカスに対して多大の支援をしているにもかかわらず、ダマスカスとテヘランは、 この戦争で彼ら自身の目的を追求する。 それは、国全体を解放することを目的とした軍事解決であり、紛争に関わる異なるグループを 和解させることを目的とするロシアの政治プロセスとは反対である。 これは、テヘランとダマスカスがモスクワがシリアで行ったことに対して感謝していないと言うことではなく、 むしろこの同盟の本質を表しており、お互いの利益のために相互に尊重しあうことが特徴である。 テヘランとダマスカスのアプローチは、シリア政府軍が首都から南部のダルアー州とクネイトラ州に 焦点を移す数週間後に示されるべきである。 抵抗軸がイスラエルの占領している領土に近づくにつれて緊張が高まるだろう。

ロシアはイスラエルに対する抵抗軸の一部ではないかもしれないし、 その目的のいくつかはイラン、シリアのものと矛盾しているが、 モスクワのシリアでの役割は決して十分に強調されていない。 そしてモスクワがいなければシリアは破壊されるだけでなく、大規模な地域戦争が勃発した可能性が高い。

シリアの「市民」戦争が終わりつつある現在、残っている疑問は:シオニスト枢軸が、 モスクワの仲裁の試みにもかかわらず、とにかく戦争を始めることを選択すればどうなるだろうか?  ロシアは何もせずにそば立ち、すべての努力が無駄になるのを見るのか、 それとも行動を起こすことを強いられるか?  もっと重要なことは、ロシア、イラン、シリアの同盟関係は、 そのようなエスカレーションを切り抜けて生き残るだろうか?


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